北海道大学の先端研究×次世代産業 「FUTURE DESIGN SUMMIT 2026」を開催しました

2026-10-09

2026年9月10日(木)、「農業」と「宇宙」をテーマにしたトークセッション「FUTURE DESIGN SUMMIT 2026」(北海道大学創基150周年記念事業企画運営委員会 情報発信施設検討WG主催、STARTUP HOKKAIDO実行委員会後援)が開催されました。会場となった札幌市中央区のSTARTUP HUB HOOK(アーバンネット札幌リンクタワー)には、北大関係者のほか、スタートアップ事業者や研究者、学生など多くの参加者が集まりました。

北海道大学は研究成果の社会実装を加速し、地域とともに北海道の新たな産業を生み出す挑戦を進めています。セッションでは、大学・行政・スタートアップ企業の関係者が「農業」と「宇宙」をテーマに、北海道の現在地と未来の可能性を探りました。

長谷川 康弘 副学長

開会のあいさつで長谷川康弘副学長は、「北海道の広大なフィールドや豊かな自然、多様な産業基盤といった強みを生かし、世界中から人が集まる北海道を実現したい。本日のテーマであるアグリフードと宇宙は、まさにその可能性を象徴する分野です」と話しました。

続いて、農学研究院教授の野口伸副学長・統括理事が基調講演を行いました。講演では、世界の食料需要が2050年に向けて増加する一方、日本の農業従事者数は今後大きく減少する見通しであることを踏まえ、AI・IoT・ロボットを活用した「スマート農業」の必要性が語られました。野口教授は、人工衛星データを用いた収量予測や、ロボットトラクターの遠隔操作などのスマート農業の最前線を紹介し、「北大が取り組んでいるデータに基づくスマート農業は、まさに国が目指す次世代社会そのものです」と話しました。

最新のスマート農業について紹介する野口教授(右端)

トークセッションの第1部は「気候変動下における新しい一次産業の可能性」と題し、農学研究院の曾根輝雄教授、内田義崇准教授、株式会社AQSimの倉橋康平CEOが登壇しました。気候変動という大きな環境変化に直面する中で、北海道の一次産業がどのような可能性を秘めているのか、研究者とスタートアップ経営者それぞれの視点から議論が交わされました。

気候変動下での一次産業の新たな可能性について話し合う登壇者ら

北海道ワイン教育研究センター長も務める曾根教授は、気候変動の影響でワイン用のブドウを栽培できる地域が道内で拡大していることを紹介し、「ワインを核に、地域ごとの個性を生かしながら人が集まる『サステナブルテロワール』を目指したい」と話しました。
土壌物質循環学が専門の内田准教授は、ここ10年ほどで大雨など予測しづらい異常気象が増えていることに触れ、「土壌や栄養素を流出させない環境再生型の農業がますます重要になります」と指摘しました。
倉橋さんは水産学部出身で、在学中の2023年に起業し、陸上養殖のシミュレーション技術を活用して持続可能な養殖産業の実現を目指しています。倉橋さんは、「北海道では漁獲量の減少が続く一方で、魚の陸上養殖がこれまでほとんど手つかずでした。だからこそ、既存のやり方に縛られずゼロから新しい仕組みを取り入れやすいと感じています」と話し、気候変動を好機ととらえ養殖市場を広げていく考えを示しました。

宇宙産業のエコシステムなどについて紹介する登壇者ら

トークセッションの第2部は「宇宙エコシステム形成に向けて」と題し、SPACE COTAN株式会社の小田切義憲・代表取締役社長兼CEO、株式会社MIJOLNIA SPACEWORKSの佐藤庸平・取締役兼CTO、札幌市経済観光局長の和田康広さんが登壇しました。

トークセッションでは、大樹町を拠点としたロケット打ち上げ基盤の整備や、プラスチックを燃料とするハイブリッドロケットエンジンの開発、札幌市のスタートアップ支援の取り組みが紹介されました。小田切さんは「宇宙版のシリコンバレーをつくるという思いで、この産業集積を北海道全域に広げていきたい」と話しました。

農業と宇宙の新たなフロンティアに挑む取り組みは、産学官の連携を通じて今後さらに発展していきます。次の150年に向けて、北海道大学の未来産業を作り出す挑戦はこれからも続きます。


(文・写真 広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香)