
8月1日(土)、「こども本の森 札幌・北大」が開館したことを記念して、同館の名誉館長に就任した漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリさんと、北海道大学総合博物館の小林快次教授によるトークイベントが札幌キャンパスにある「オープンイノベーションハブ エンレイソウ」で開催されました。主催したのは、札幌市教育委員会中央図書館と北海道大学附属図書館で、会場には小学1年生から中学3年生までの生徒を含む25組の親子連れが集まりました。

イベントは、ヤマザキマリさんによるトークセッションからスタートしました。ヤマザキさんは名誉館長を引き受けた理由として、幼少期に北海道に在住していた経験と、家で母親の帰りを待つ生活の中で、自身の支えとなった本と大自然への感謝を語りました。
今回、こども本の森を訪れる子どもたちのために 50冊以上の本をセレクトしたというヤマザキさん。トークセッションでは6冊の本を紹介しました。「星の王子様」や「アルケミスト」といった世界的ベストセラーに加え、参加者に向け本を大きく開きながら特に熱く語っていたのが「地球家族」という大型の本です。世界三十カ国の「普通」の暮らしぶりを紹介するこの本に、ヤマザキさんは「これを読んだら『普通』って何?ってなるんですよ。『普通』 というものは存在しないのでは、という考えに至ると思います」と話し、学校や社会で「他の人と何か違うな」と感じた時に、それを責めてはいけないという考え方をこの本から見つけられるのでは、と締めくくりました。

後半は、小林教授との対談が行われました。普段からラジオなどで親交の深い二人が軽快なトークで盛り上がりを見せる中、小林先生は自身のおすすめ本として赤塚不二夫氏の『ニャロメのおもしろ数学教室』をセレクト。子どもの頃、「1+1=2」が理解できなかったという小林教授。大人の教える当たり前に対して、本当にそうなのか疑問を持っていたと話し、大人の言うことを鵜吞みにするのではなく、自分の目で自分の手で確かめたいという好奇心が自身の原点であると語りました。また、その感覚的な違和感が自身の世界を広げるきっかけになると話し、ヤマザキさんもこの意見に深く同意しました。


最後は「こども本の森 札幌・北大」の話題へ。ヤマザキさんは、私たち人間が蓄えた知識を地球に還元することが平和な世界をつくるという考えを示し、 「大自然に見守られながら本を読める『こども本の森 札幌・北大』は、それを直に感じることができるのでは」と話しました。そして、「命をどこまで大事に最後まで使っていくかを考えるきっかけが、北大のキャンパスの中にぎゅっと詰まっているように思います。たくさんキャンパスを訪ねて、素敵な本を見つけて、自分の心の支えにしていただけたらと思っています」と子どもたちに向けてエールを送りました。また、小林教授は、「こども本の森札幌・北大」では本を屋外に持ち出せることに触れ「館内のスペースに限らず、すぐ近くの芝生に座って木に囲まれながら本を読めるというのは、とても画期的だと思います」と絶賛し、 「五感で北大のキャンパスを楽しみながら、少し足を伸ばして総合博物館も楽しんでもらったらいいなと思います」と話し、トークイベントは幕を閉じました。ヤマザキさんと小林教授のユーモア溢れるトークに、どっと笑いが起こる場面もあり、会場は終始朗らかな雰囲気に包まれていました。

会場には、ヤマザキさんと小林教授がそれぞれおすすめする本が展示され、子どもたちが実際に手に取りながら楽しむ様子がうかがえました。

トークショー終了後の質問タイムでは、札幌市豊平区から母親と来場した小学5年生の男の子が真っ先に手を挙げてヤマザキさんに質問をしていました。本を読むことが好きだといい、ヤマザキさんの『モーレツ!イタリア家族』は10回くらい読んでいるそう。本が好きな理由を聞くと、「少し嫌なことがあっても、それを忘れて本の世界に集中できるから」と話し、今回のトークイベントについては、「今までのトークイベントとか偉い人が話す会はあまり入り込めなかったけど、今日はすごく楽しかった」と嬉しそうに話しました。同行していたお母さんも「明日『こども本の森 札幌・北大』に行く予定なので、おすすめしていただいた本を見てみたいなと思いました」 と新たにできた図書館への期待に胸を膨らませました。

▼文責
広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門
広報インターン 江頭 泰斗
▼撮影
広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門
長谷川 亜裕美
広報インターン 石川 葵