計画されながらも実現に至らなかった学部「北海道大学家政学部」
これは、かつて計画されながらも、ついに実現に至らなかった学部だ。
1960年7月20日の評議会議事録に「家政学部の設置要求について」という議題がある。杉野目晴貞学長の発議によるものだった(農学部教授会記録、1960年7月18日)。添付の設置主旨や学部構成案によれば、以下の12講座が予定されていた。
1.経済(家計経済)
2.経済(消費経済)
3.経済(消費金融)
4.デザイン及び工作
5.伝達普及及び教育
6.食糧及び栄養(農家の調理・貯蔵・加工等)
7.食糧及び栄養(公共・厚生施設等)
8.繊維品及び衣服
9.住宅(農家住宅・衛生施設)
10.住宅(什器、特に冷蔵・洗濯・調理・清掃等)
11.育児・老人養護・一般家族関係
12.家庭の保健、衛生
はじめに衣食住ではなく経済がくるのが面白い。講座内には、消費者教育(2)、保険や相続(3)、新聞・テレビ・ラジオなどのマス・メディア(5)といった項目もある。国民経済の「消費に関する理論、応用及び教育」のために旧帝大で初となる「家政学部」の設置をめざす、という主旨に基づき、総合的な研究体制が整えられていた。
北海道大学150年史編集ニュース 第2号(2019年1月発行)
森本厚吉 (1877-1950)
森本は札幌農学校19期生 (1901年卒業)で、 1906-32年に北大で経済学などを教えた。論文「日本の『国民食料』」「衣服の改良」「住家の職務と住居費」( 「生活間 題』 1920年)や、著書『家政学通論』 (1949年)から分かるように、その研究は家政学に通じていた。
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