
2025年12月17日(水)、北海道大学とエア・ウォーター北海道㈱、STARTUP HOKKAIDO実行委員会が、「GX(グリーントランスフォーメーション)」と「宇宙」をテーマにしたトークセッション「FUTURE DESIGN SUMMIT2025」を開催しました。会場となった札幌市桑園にあるエア・ウォーターの森には、北大関係者のほか企業や行政などから約90名が集まりました。

北海道大学は研究成果の社会実装を加速し、地域とともに北海道の新たな産業を生み出す挑戦を進めています。サミットでは、社会実装が期待される「GX」と「宇宙」をテーマに、大学・企業・行政・金融などさまざまな分野からの参加者が、北海道の次の150年を考えるヒントを探りました。

開会のあいさつで、北大の瀬戸口剛理事・副学長は「1876年の創基以来、北大で続くもののひとつに、フロンティア精神があります。まさに今日のテーマであるGX、宇宙開発のような新しい分野を北海道で拓いていくため、北大では日々研究に取り組んでいます。北海道で技術者を育て、産業を広げていくため、皆さんと一緒に北海道の新しいフロンティアに挑戦していきたいと思います」と話しました。また、経済産業省資源エネルギー庁から水素・アンモニア課長の廣田大輔さんが「GX実現に向けた水素政策の方向性」と題して講演し、化石燃料だけに頼らない、水素エネルギーなどの活用や社会実装の例が紹介されました。

セッションの第1部はGXをテーマに「地域から考えるエネルギー活用の未来像」と題し、北大大学院工学研究院の田部豊教授、札幌市まちづくり政策局長の浅村晋彦さん、エア・ウォーター(株)グリーンイノベーション開発センターの西川智大さんが登壇しました。水素を使った新たな燃料電池の研究の最前線や、道内で行われている畜産排泄物由来のバイオガスを活用する試み、札幌など人口が集中する道央圏で都市部のエネルギー消費を削減する取り組みなどが紹介されました。田部教授は、「GXは実現がなかなか難しく、全員が参加してやらないといけない取り組みです。今回のように交流する機会をより多く持って、みんなで考えることが重要だと思います」と話しました。

第2部では、「北海道の宇宙産業振興を考える~研究から実装まで~」と題し、北大大学院工学研究院の永田晴紀教授、大樹町の黒川豊町長、Letara㈱の糸魚川大和プロジェクトマネージャー、㈱IDDKの上野宗一郎代表取締役が登壇。次世代ロケットの研究や、スタートアップ企業による人工衛星やロケットのエンジン開発、宇宙実験サービスの提供、大樹町に設置されたロケット発射場の紹介がされました。また、研究成果の事業化への課題や、市町村単位での宇宙技術利用のあり方などが議論されました。永田教授は、「大樹町が1985年にロケット射場誘致を始めて以来、北海道は『宇宙』のまちづくりを先導してきました。宇宙産業のクラスター形成は、北海道でこそ進めるべきだと考えています」と話していました。
GXと宇宙という新たなフロンティアに挑む取り組みは、地域の力を結びながら今後もさらに発展していきます。北海道大学は、次の150年に向けて、北海道の未来をともに作り出す挑戦に参画していきます。
(文・写真 広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香)