元北大職員 クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役 伊藤博之氏のトーク&サイン会を開催

2025-08-20

バーチャルシンガー「初音ミク」を生み出したクリプトン・フューチャー・メディアの代表取締役 伊藤博之氏は、北大と大変ゆかりのある方です。

1985年から10年間、伊藤代表は北大の事務職員として働いていました。パソコンもインターネットもまだ一般には普及していなかった時代、配属された工学部の研究室で初めてそれらに出会ったそうです。その後、パソコンとインターネットに大きな可能性を感じた伊藤代表は「クリプトン・フューチャー・メディア株式会社」を立ち上げました。

そんな伊藤代表の軌跡が書かれた『創作のミライ 「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』の出版を記念して、7/29(火)、トーク&サイン会が北大札幌キャンパスにあるフロンティア応用科学研究棟のレクチャーホールで行われました。これは、北大創基150周年記念事業の一環として行われたもので、トークショーには、伊藤代表が所属していた研究室の流れをくむ情報科学研究院 自律系工学研究室の山本雅人教授も登壇。会場には、北大生や一般の方など182名が集まり耳を傾けました。

トークでは、北大勤務時代のエピソードが語られたほか、もともと音楽が好きだったという伊藤代表が、音源ソフトや「着信メロディ」といったモバイルコンテンツなどの「音」を扱う事業を展開する中、歌声合成ソフト「初音ミク」の大ヒットに至った経緯が紹介されました。

終盤は、AIの話題へ。山本教授が「AIとクリエイターは対峙するか、あるいは共存できるか?」と問いかけると、伊藤代表は「あくまで人が”創る”ことで感動が生まれると信じたい」とした上で、人の脳にあるイメージをスピーディーに具現化するツールとしてAIを活用する例を挙げ、「人間の能力は限界があるけれど、AIはそれを拡張してくれるものでは」と話しました。

トークショー後はサイン会が行われ、伊藤代表の著書を手にした参加者が長い列を作りました。

参加した北大生たちは、「小学生のときに初音ミクが流行っていて大好きでした。今回のイベントを知って絶対来なきゃと思いました」、「北大時代の話もおもしろかったですし、AIに関する考え方はすごく心に残りました」と興奮冷めやらぬ様子で話していました。


▼『初音ミク』とは https://piapro.net/
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができる「歌声合成ソフトウェア」」(別称:バーチャルシンガー・ソフトウェア)。2007年8月31日に誕生して以来、多くのクリエイターの手により、音楽・イラスト・動画・CGなど様々なジャンルの作品として創作されてきた。パッケージに描かれているキャラクターとしての『初音ミク』は、ブルーグリーンのツインテールが特徴的な、16歳の女性バーチャルシンガー。創作の連鎖が拡がったことで、グッズ展開やライブ出演など、ソフトウェアの枠を超えたバーチャルシンガーとして国内外で多方面に活躍している。


(文:広報・コミュニケーション部門Hasegawa)
(写真:Hasegawa、工学研究院 川本)

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