北大歴史ノート第5話
「100年前の受験生活」
(2020年8月発行)

2025-04-30
  • 北海道大学150年史編集ニュース

「札幌農大奮闘の記」

「札幌農大奮闘の記」
1917年8月発行の受験雑誌『中学世界』に、「札幌農大奮闘の記」と題する手記が掲載されている。これは、北大(当時は東北帝国大学農科大学)附属の「大学予科」への受験体験記である。
当時、大学への進学は、中学校卒業後に高等学校や大学予科を経ることを原則とした。大学予科入試は、実質的な北大の入学試験であった。

受験勉強
体験記は1917年3月の中学校卒業から始まり、いよいよ「之からが愈々奮戦」と意気込みが綴られている。大学予科の学年暦は、6月末入試、9月入学であった。3月の中学校卒業後、4~6月が本格的な受験準備の期間となった。体験記の筆者は「蝦夷の男子」と名乗るが、受験番号などから、北海道庁立札幌第一中学校(札幌南高等学校の前身校)を卒業した田村常次郎と推定される。
4月は、1日10時間、数学や英語を中心に勉強したようだ。主に教科書を復習しつつ、数学では、藤森良蔵による「代数幾何三角」(藤森『学び方考へ方と解き方』シリーズと思われる)を参考した。英語では、南日恒太郎『和文英訳法』、間崎勝義『英文は斯の如く和訳せよ』、佐川春水『正則英作文』などの参考書を利用した。
5月中旬には、1日12時間の勉強をした。5月22日に願書を提出し、翌々日に受験票が届く。80番台と若い受験番号に驚きつつ3で割り切れるのは縁起がいいと喜ぶ。

▲田村常次郎が提出した入学願書

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